目の角膜が傷ついた患者の治療法として、将来iPS細胞を使った再生医療が行われる場合に備え、大阪大学などのグループは、他人に移植しても拒絶反応が起きにくい特殊なiPS細胞からあらかじめ角膜の元になる細胞を作って保存しておく「細胞バンク」の取り組みを始めることを決めました。
大阪大学大学院医学系研究科の西田幸二教授などのグループは、けがや病気で角膜が傷ついたり濁ったりした患者に、iPS細胞から作った角膜の組織を移植する再生医療の研究を進めています。
京都大学が保管を進めている、他人に移植しても拒絶反応が起きにくい特殊なタイプのiPS細胞を使う計画ですが、移植する組織を作るのに半年近くかかることなどが課題になっています。
そこで研究グループは企業と協力して、あらかじめiPS細胞から角膜の元になる細胞を作り、凍結保存しておく「細胞バンク」の取り組みを始めることを決めました。
移植に使う組織を1か月ほどで作れるようになるほか、費用も抑えられる見込みで、医療機関から要請があった場合はそれぞれの患者に適した細胞を提供するということです。
研究グループは、角膜の組織を移植する再生医療について、数年以内に臨床研究を行いたいとしています。
西田教授は、「臨床研究で安全性と効果を確認するとともに、広く行われるようにするための環境整備も進めていきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB