大手電機メーカー、三菱電機で裁量労働制で働く社員がおととし自殺し、長時間労働が原因の労災と認定されるなど、裁量労働制の社員3人が相次いで労災と認定されていたことが、会社などへの取材でわかりました。三菱電機は、これがきっかけではないとしながら、裁量労働制を廃止しました。
裁量労働制は実際に働いた時間ではなく一定の時間働いたものとして賃金が支払われる仕組みで、国が定めた専門的な業務などに限って認められていますが、長時間労働を助長するおそれがあると指摘されています。
三菱電機などによりますと、おととし、兵庫県にある部署で裁量労働制で働いていた研究開発の40代の男性社員が精神障害となり自殺し、去年、労働基準監督署から長時間労働による過労が原因の労災と認定されました。
他にも平成25年とおととし、それぞれ別の部署で裁量労働制の社員2人が脳梗塞などを発症し、その後、労災と認定されたということです。
三菱電機では、社員全体の3分の1に当たるおよそ1万人のエンジニアについて、裁量労働制を導入していましたが、ことし3月に制度を廃止しました。
三菱電機は「制度の廃止は労災がきっかけではない」としたうえで、「労災認定を重く受け止め、従業員の健康を守るため労働時間管理に努めていく」としています。
裁量労働制をめぐっては、対象となる業務の拡大が議論されていて、大手企業がいったん導入した制度を廃止したことは今後の議論に影響を与えそうです。
-- NHK NEWS WEB