安倍総理大臣は日米首脳会談で、「日米物品貿易協定」=TAGの締結に向けて、2国間交渉を開始することで合意したと発表しました。
そのうえで、農産品については、TPP=環太平洋パートナーシップ協定など、過去に締結した経済連携協定の内容が最大限であり、その水準を上回る関税の引き下げには応じないことや、「協議が行われている間は合意の精神に反する行動を取らない」として、交渉の継続中にはアメリカが検討する日本の自動車などへの関税引き上げを行わないことを確認したと説明しました。
政府は、アメリカが自動車の関税を引き上げれば「日本経済に甚大な影響を与える」として、極めて強い危機感を示してきました。
去年1年間に日本がアメリカに輸出した自動車の台数は174万台。関連部品と合わせた輸出額は5兆5000億円余りと、アメリカへの輸出額全体に占める割合も36%と最大です。
こうした中、トヨタ自動車は、関税が25%に引き上げられるとアメリカに輸出する車、1台当たりの平均で6000ドル、日本円で67万円程度の負担が増えると試算したほか、民間のシンクタンク「大和総研」は関税が20%になると、日本の自動車メーカーなどの追加負担額は、合わせて1兆7000億円余りになると試算するなど、大きな影響が懸念されました。
このため政府は「アメリカ経済、ひいては世界経済に破壊的な影響を及ぼし得る」とした意見書を送るなど、アメリカに対して関税を引き上げないよう繰り返し求めていました。
また安倍総理大臣も今回の日米首脳会談を前に、NHKの番組で「間違っても発動されない形で合意に至ればと思っている」と述べ、関税引き上げの回避を図りたいという考えを示していました。
-- NHK NEWS WEB