租税回避地=タックスヘイブンなどを使った課税逃れへの批判が高まる中、日本と84の国や地域の税務当局が連携し、富裕層などが海外で作った口座情報を関係国で共有する新たな制度が始まりました。国税庁が新たに把握する口座情報は、少なくとも年間数十万件に上る見通しで国内の富裕層の課税逃れへの対応が進むことが期待されています。
タックスヘイブンを使った富裕層の課税逃れは、おととしの「パナマ文書」の報道などで関心を集め、租税回避によって各国が年間に失っている税収は数十兆円に上るという国連機関の専門家グループの推計もあります。
新たな制度は、日本と84の国や地域の税務当局が連携し、富裕層などが海外の金融機関で作った口座情報をネット回線を通じて関係国で共有するもので、国税庁は今月から参加各国と口座情報のやり取りを始めました。
制度にはカリブ海のケイマン諸島やパナマ、シンガポールなどいわゆるタックスヘイブンとされる国や地域も参加し、現地の金融機関に日本の個人や企業の口座があれば住所や残高などの情報が自動的に国税庁に提供されます。
関係者によりますと、この制度によって国税庁が新たに把握できる国内の富裕層などの海外の口座情報は、少なくとも年間数十万件に上る見通しだということです。
国税庁がこれまで把握していた富裕層の海外資産は氷山の一角だという指摘もあり、新たな制度によって実態把握と課税逃れへの対応が進むことが期待されています。
-- NHK NEWS WEB