改正労働者派遣法が施行されて30日で3年です。この改正で企業で派遣として働ける期間は原則3年までとした一方で、派遣会社に派遣で働く人の雇用安定の措置をとることを義務づけましたが、「仕事を続けることができない」という相談が労働組合などに相次いでいます。
改正労働者派遣法は、派遣で働く人たちの雇用の安定とキャリアアップを図るため、3年前の平成27年9月30日に施行され、派遣先の企業で働くことができる期間は原則3年までとなりました。
30日以降、その3年の上限を迎える人が出てきますが、この法律では、派遣で働く人が「仕事を続けたい」と希望した場合、派遣会社に雇用安定の措置をとることを義務づけていて、派遣で働く人が仕事を失わないようにしています。
具体的には、派遣会社は企業に直接雇用を依頼する、派遣会社に正社員などとして雇用する、新しい派遣先の企業を紹介するなどのいずれかを実施しなければなりません。しかし、派遣で働く人たちから「仕事を続けることができない」という相談が労働組合や市民団体に相次いでいます。
このうち、労働組合の「派遣ユニオン」などが今月、電話相談を行ったところ、243件の相談が寄せられ、契約満了による雇い止めや解雇などの相談が半数以上を占めたということです。
また、市民団体の「非正規労働者の権利実現全国会議」には、去年9月からの1年間に派遣で働く237人から「3年を前に雇い止めにあった」とか、「何のための法改正だったのかわからない」などという声が寄せられたということです。
派遣法に詳しい法政大学の浜村彰教授は、派遣会社に義務づけられている雇用安定の措置について、「派遣先の企業が直接雇用するか、派遣会社が正社員などして雇うかどうかは結局、企業の努力に任されている」と述べ、その実効性について疑問を示したうえで、派遣で働く人が望む雇用の安定や、キャリアアップが果たせることが重要だと指摘しています。
-- NHK NEWS WEB