サウジアラビアのムハンマド皇太子は、史上最大規模になるとして注目されてきた国営石油会社「サウジアラムコ」の株式上場の計画について、ことし予定されていた計画を2年程度、延期する考えを示しました。
サウジアラビアは、世界最大の国営石油会社「サウジアラムコ」の株式を上場させ、売却で得たばく大な資金をもとに、石油以外の分野への投資を加速させる計画を進めています。
アメリカの大手メディア、ブルームバーグは5日、計画を主導するムハンマド皇太子が、ことし予定されていた株式の上場を早くても再来年の後半まで2年程度、延期する考えを示したと伝えました。
その理由についてムハンマド皇太子は、「サウジアラムコ」に政府系の石油化学会社を事実上統合させて企業価値を高めるためだとしています。
この計画は、上場後の時価総額の見通しが日本円で200兆円規模に上ることから、世界最大規模の株式上場として日本はじめ各国で注目を集めていますが、上場先の海外の取引所も決まっておらず、実現には懐疑的な見方が出ていました。
ムハンマド皇太子は、こうした見方を否定したうえで、「石油化学の需要はまだ伸びる」と述べて、計画の実現に自信を示しました。
上場計画が実現しなければ、脱石油の経済改革が看板倒れに終わるおそれも指摘されているだけに、ムハンマド皇太子としては、新たな上場の時期をみずから明らかにすることで、不安を払拭(ふっしょく)したい狙いがあるものとみられます。
-- NHK NEWS WEB