幕末の志士、坂本龍馬が暗殺される5日前に書いたと見られる新政府の人事に関連する書状が新たに見つかりました。これまでに知られている龍馬の書状には見られない「新国家」という文字が記され、専門家は「暗殺される直前まで『新国家』建設のためにまい進していたことがわかる貴重な発見だ」としています。
この書状は、高知県が東京の企画会社に依頼して明治維新の関連資料について調査を進める中で見つかりました。
縦16センチ、横93センチほどの細長い和紙に毛筆で字が記され、坂本龍馬の研究を行っている京都国立博物館の宮川禎一上席研究員らが鑑定して、筆跡や内容から龍馬の直筆で間違いないと判断しました。
鑑定によりますと、書状は、大政奉還のあと新政府の設立を急いでいた龍馬が京都で暗殺される5日前に当たる西暦1867年、慶応3年の11月10日に、福井藩の重臣、中根雪江に宛てて書かれたものだということです。
この中で、龍馬は、新政府の財政担当として適任だと考えていた三岡八郎という福井藩士が京都に来て仕事ができるよう藩内での手続きを依頼するとともに、三岡が来るのが1日遅れれば、その分、「新国家」の財政の成立が遅れてしまうと訴えています。
宮川上席研究員によりますと、龍馬が「新国家」という言葉を使っているのが確認されたのはこれが初めてで、文字どおり江戸幕府が政権を返上した大政奉還のあとの新しい国家という意味と考えられるということです。
宮川上席研究員は「龍馬が暗殺される直前まで、新国家の建設、財政問題の解決にまい進している様子がわかる貴重な発見だ。150年たった今、このような手紙が出てくることに驚いています」と話しています。
-- NHK NEWS WEB