日銀がマイナス金利政策を導入して以降、定期預金の金利が一段と低下しているうえに、先行き不透明感も重なったことから、いつでも引き出し可能な普通預金にお金を移す動きが広がり、日銀の統計でも先月の普通預金などの残高は過去最高を更新しました。
日銀は先月1か月の平均の通貨量の残高を調べた統計を発表しました。
それによりますと、企業や個人が金融機関に預けた普通預金や当座預金など、いつでも引き出しが可能な「預金通貨」の残高は、前の年の同じ月より10%増えて594兆円余りに上り、金額は4か月連続で過去最高を更新しました。
一方、定期預金などを示す「準通貨」の残高は、前の年の同じ月より1.4%減少しました。
また、投資信託の残高は4%増えたものの、去年4月までは2桁増加していたのと比べると伸びが鈍ってきています。
これは、日銀が去年2月に導入したマイナス金利政策の影響で定期預金の金利が低下し、何年預けてもほぼ一律の金利になってしまったこと、経済の先行き不透明感から投資にお金を振り向ける動きにかげりが見えていることが背景にあります。
日銀では「アメリカのトランプ次期大統領の経済政策をはじめ、世界経済の先行きへの不透明感が漂い、より使い勝手がよく安心感のある普通預金にお金を移す傾向が強まっているのではないか」と見ています。
-- NHK NEWS WEB