5年に一度行われている公的年金制度の見直しで厚生労働省は、高齢者の働く期間の長期化や多様な働き方を反映する制度にする一方、高齢者の自助努力の促進も図るとした、見直しの方向性を初めて示しました。
政府は、全世代型の社会保障の実現に向けて、2021年度までに公的年金を含む制度改革を行う方針で、社会保障審議会の年金部会では、働く高齢者の増加も踏まえて、5年に一度行う制度の見直しをことし4月から始めています。
10日行われた部会で厚生労働省は、平均寿命が延びたため、1990年生まれで65歳になった人のうち、さらに90歳まで長生きする人は男性の5人に2人、女性は3人に2人になるとしたうえで、働く高齢者も増えているとしたデータを示しました。
そして公的年金制度の見直しの方向性を初めて示し、就労期間の長期化を反映するとともに、多様な働き方に合わせた柔軟な制度にすること、さらに高齢者の自助努力の促進も図るとしています。
これに対し、出席者からは、健康状態には個人差があり、就労が困難な高齢者への影響も考慮すべきだといった指摘が出されました。
厚生労働省は、今後受給開始年齢の選択肢を広げることや、私的年金の活用促進など具体的な制度改正についての議論を進め、再来年・2020年に法改正を目指すことにしています。
-- NHK NEWS WEB