乗客乗員15人が死亡した長野県軽井沢町のバス事故から1年となるのに合わせ、NHKが県内のバス事業者にアンケートをしたところ、「旅行会社などから、国の基準の運賃の下限を下回る価格で運行を求められたことがある」と回答した事業者が35%に上り、事故後も下限を下回る金額で運行するよう求められるケースがあることがわかりました。
軽井沢町の去年のバス事故では、国土交通省が過当な競争で安全が脅かされないよう、走行する時間や距離に応じて運賃の上限と下限を定め、この範囲を守るよう指導していたにもかかわらず、バスの運行会社は、運賃の最低基準のおよそ26万円を大幅に下回る19万円で受注していました。
NHKでは、事故から15日で1年となるのに合わせ、事故後のバスの運賃の実態などを把握するため、県内のバス事業者100社にアンケートを行い、43社から回答を得ました。
それによりますと、「旅行会社などから運賃の下限を下回る価格で運行を求められた事がある」と回答した事業者が35%、「ない」と答えた事業者は65%で、事故後も下限を下回る安い金額で運行するよう求められるケースがあることがわかりました。
交通政策が専門で、バス事業に詳しい名古屋大学の加藤博和准教授は「バス会社のほうが旅行会社より立場が弱いため必要な運賃を払うことが安全確保につながるという意識を高める必要がある」と話しています。
-- NHK NEWS WEB