ことしの患者数が1000人を超えた風疹の感染拡大を防ごうと、大手製薬会社が、希望するすべての従業員を対象に、社内でワクチンを接種する異例の取り組みを始めました。
風疹のワクチン接種を始めたのは、大手製薬会社の「ロート製薬」で、19日はまず、東京・港区にある東京支社で、従業員への接種を行いました。
会場となった社内の応接室には、希望する人たちが次々と仕事の合間に訪れて、医師の問診を受けたあと、ワクチンの接種を受けていました。
この会社には、派遣社員なども含め、全国に約1700人の従業員がいて、このうち、500人から600人が接種を希望すると見込まれるということで、1人1万円ほどかかる費用は、すべて会社が負担するということです。
今後、大阪本社などでも社内で接種を行い、医療機関で接種を受けた人にも全額を補助するということです。
ことしの全国の風疹の患者数は、今月7日までに去年1年間の10倍を超える1100人余りとなっていて、その多くが、子どものころワクチンを接種していない30代から50代の働き盛りの男性です。
接種を受けた40代の男性社員は、「自分たちの世代が風疹を広げていることを会社の呼びかけによって理解しました。社内で接種できてありがたいです」と話していました。
ロート製薬東京支社人事総務部の坂手秀章さんは「女性社員の不安もあり、職場全体で対策をすることが重要だと思い、実施しました。インフルエンザのように毎年の接種が必要ではなく、一度、接種すれば安心して働けるので、今後、従業員の家族も含めて対策を広げていきたい」と話していました。
また、接種を行った久住英二医師は「働いている人は、医療機関へ行くのが難しいので、会社の中に、接種できる場を作るのは非常に有効な対策で、多くの企業で実施してほしい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB