日銀の前の総裁の白川方明氏が22日、都内で記者会見し、国や企業の債務が世界的に膨らんでいることなど、次の経済的な危機につながりかねないリスクに注意が必要だと指摘しました。
かつての日本の金融危機やリーマンショックなどへの対応に第一線で当たり、5年前まで日銀の総裁を務めた白川氏は、みずからの経験をまとめた本を出版したのに合わせて22日、日本記者クラブで会見しました。
リーマンショック後、各国が行った金融緩和を背景に、今、国や企業が抱える債務が膨らんでいることについて白川氏は「過剰な債務が次の問題を引き起こすきっかけになるという問題意識は多くの人が共有している」と述べました。
また、経営体力が乏しい国内の金融機関が過剰なリスクを取って融資を行うことなど、ほかの懸念要因も挙げ、次の経済的な危機につながりかねないリスクに注意が必要だと指摘しました。
一方、日銀が黒田総裁のもとで大規模な金融緩和を続けているにもかかわらず物価の伸びが鈍いことについて、白川氏は直接的な言及を避けつつ「日本経済が直面している課題の答えが金融政策ではないのは明らかだ」と述べ、人口減少への対応や規制緩和など成長戦略の重要性を強調しました。
-- NHK NEWS WEB