日銀は金融機関の不動産業向け融資について、銀行が慎重な姿勢を強めている一方、信用金庫の中にはなお積極的なところが見られるとして、リスク管理の強化が必要だとする報告書をまとめました。
日銀は国内の金融システムが抱える課題を年に2回、報告書にまとめていて、22日公表した報告書では、ここ数年の個人の不動産投資熱の高まりなどを踏まえ、不動産関連の融資の現状を詳しく分析しました。
それによりますと、不動産業向けの融資はことし6月末の融資残高が前の年の同じ時期より5%以上増え、融資全体の伸び率以上に増えているとしています。
そのうえで、収益性の高い投資用物件の減少などを受けて大手銀行や地方銀行が新規の融資に慎重な姿勢を強めている一方、信用金庫の中には融資を一段と積極化させているところが見られるとしています。
この分野をめぐっては、投資用の不動産向け融資を積極的に手がけてきた静岡県の「スルガ銀行」で組織的な不正が発覚し、経営を揺るがす問題に発展しています。
日銀は、全体としては不動産業向けの融資が不良債権になっている割合は低いとしながらも、不動産関連の融資は返済までの期間が長いこともあり、リスク管理を強化する必要があると指摘しています。
-- NHK NEWS WEB