長時間労働や仕事のストレスで精神疾患になり労災と認定された人のうち、4年で職場復帰できた人は20%にとどまっているという初めての調査結果がまとまりました。調査を行った専門家は「労災認定のあと、どう職場復帰してもらうかという視点が今の制度には欠けている」と指摘しています。
東邦大学の黒木宣夫名誉教授などの研究グループは、精神疾患で労災と認定された人がどれだけ職場復帰できているか、厚生労働省を通じて全国の事例を初めて調査しました。
調査結果によりますと、平成24年度の1年間に精神疾患で労災と認定された人は、400人近くに上りましたが、このうち4年で職場復帰できた人は20%にとどまりました。
また、労災認定から10年以上にわたって職場復帰できていない人も、昨年度の時点で全国で152人に上るということです。
長期間、職場復帰できない理由を労働局に尋ねたところ、最も多いのが「病状が改善しない」で、次いで「労災の休業補償に依存」、「企業側の受け入れが困難」などとなりました。
調査を行った黒木名誉教授は「労災認定のあと、どう職場復帰してもらうかという視点が今の制度には欠けている。労災認定された人を企業や社会が受け入れていく体制づくりが必要だ」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB