JR福知山線の脱線事故などの遺族でつくる団体が、重大な事故を起こした企業などの刑事責任を問う「組織罰」の新設を求めて、およそ1万人分の署名を法務省に提出しました。
日本の刑法では、多くの犠牲者が出るような重大事故が起きても刑事罰の対象となるのは個人だけで、企業の刑事責任を問う規定はありません。
このため、兵庫県のJR福知山線の脱線事故や山梨県の中央自動車道の笹子トンネル事故などの遺族でつくる団体は、企業などを組織として処罰するための「組織罰」の新設を求めていて、26日、山下法務大臣におよそ1万人分の署名を提出しました。
このあと会見を開いた遺族らは、今の刑事司法の仕組みでは重大事故が起きても真相解明や再発防止につながらず、企業も事故対策にコストをかけないとして、企業に高額の罰金を科すことができる新たな法律を設けるべきと訴えました。
団体の副代表で笹子トンネルの事故で長女を亡くした松本邦夫さん(67)は「今の法律では経営陣も『知らなかった』と言えば言い逃れできる構造になっている。組織罰を導入することで私たちと同じ悲しみを味わう人が出ないようにしたい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB