中国を訪れている安倍総理大臣は、習近平国家主席と会談し、来年の日本訪問を要請したのに対し、習主席は真剣に検討する考えを示し、両首脳は、両国関係の発展に向けて、首脳間の相互往来を加速していくことで一致しました。
日本の総理大臣として7年ぶりに中国を公式訪問している安倍総理大臣は、日本時間の26日午後5時半すぎから習近平国家主席との首脳会談に臨み、その後、夫人も交えて夕食をとりながら意見を交わしました。
会談の冒頭、習主席は「世界の主要な経済大国で重要な影響力を持つ国として、中日関係が長期にわたって健全で安定的に発展することは両国の国民の根本的な利益であり、地域と国際社会の普遍的な期待でもある」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「日中関係を競争から協調へ、新しい時代へと押し上げていきたい。互いに脅威とはならないという合意を再確認し、自由で公正な貿易体制を発展、進化していかなければならない」と述べました。
そして、安倍総理大臣は「来年の習主席の日本訪問を歓迎する」と述べ、来年の日本訪問を要請したうえで、中国で来年、開催予定の日中韓3か国の首脳会議に合わせて、再び中国を訪問する意向を伝えました。
さらに安倍総理大臣は「少し気は早いが」と断ったうえで、2020年の東京オリンピックの開会式にも習主席を招待する考えを示しました。
これに対し、習主席は謝意を示したうえで、来年の日本訪問について「真剣に検討したい」と応じ、両国関係の発展に向けて、首脳間の相互往来を加速していくことで一致しました。
また安倍総理大臣は、東シナ海の状況の改善を求め、両首脳は、意思疎通を強化し、不測の事態の回避に努めることを確認したほか、朝鮮半島の非核化に向けて国連安保理決議の完全な履行が重要だという認識で一致しました。
さらに習主席が、アメリカとの経済関係を説明したのに対し、安倍総理大臣は、多角的自由貿易体制を重視する日本の立場を説明したうえで、「中国側が補助金や知的財産権を含む問題についてさらなる改善を図ることが重要だ」と指摘しました。
これに先立って安倍総理大臣は、李克強首相とも会談し、「東シナ海の安定なくして真の関係改善なし」という認識を示しました。
そして、2008年に共同開発することで合意した東シナ海のガス田開発をめぐり中断している条約の締結交渉の早期再開を目指して意思疎通を強化することや、海上や空での偶発的な衝突を避けるための連絡方法などを取り決めた「海空連絡メカニズム」の最初の年次会合を年内に開催することなどで一致しました。
また経済分野では、国際標準に合致し、第三国の利益となる企業間協力の推進で一致し、技術革新に向けた支援や知的財産分野での協力の在り方などを議論する新たな対話の立ち上げを確認しました。
-- NHK NEWS WEB