国内で作られるワインのラベル表示のルールが30日から変わることを受けて、山形県内のワイナリーでは、自社栽培のぶどうを増やすなど、地元産ぶどうの確保に追われています。
このうち、高畠町にある東北地方で最も生産量が多いワイナリーは、ブランド化のチャンスと捉えています。
地元で収穫したぶどうを使ったワインを増産し、産地「高畠」の名前を前面に打ち出した商品のラインナップを増やす方針です。
国税庁が定めた新たなルールでは、産地を表示する場合には、その地域で収穫したぶどうを85%以上使ったうえで、同じ地域内にある醸造施設で製造する必要がありますが、農家の高齢化などでぶどうの確保は年々、難しくなっています。
そこで、このワイナリーでは、契約農家から仕入れるぶどうに加えて、会社みずから栽培する量を増やすことにしました。
自社の畑の面積も増やし、7年間で2.5倍に拡大する計画です。
高畠ワイナリーの川邉久之取締役製造部長は「日本ワインを造る生産者としては、待ちに待ったルールがようやくできたと受け止めている。日本や世界の市場に売り出していく、一つの機会になるのではないか」と話しています。
一方、米沢市にある小規模なワイナリーでは、ラベルに地名を表示できなくなります。豪雪地帯の米沢市はぶどうの生産量が少なく、表示の条件を満たすほどのぶどうを確保できないからです。
そのため、このワイナリーでは表示ルールの変更に合わせて、すべての商品のラベルを刷新することにしました。
このうち、手ごろな価格を維持するため南米のチリから輸入したワインをブレンドした商品には、この会社が別に作っている日本酒の名前をデザインしたラベルを用意しました。新しいイメージを打ち出すためです。
また、国産ぶどうの価格が高騰していることから、このワイナリーでは、来年以降、新たに自社の畑で栽培を行ってぶどうを確保し、5年後をめどに「米沢」の地名を表示した商品を発売したいとしています。
ワイナリーを営む「浜田」の武者恭典常務取締役は「国内産のぶどうは奪い合いの状態で、実際に値段が高騰している。しかし、これからワインに親しむ人もいるので、求めやすい価格帯の商品は必要だ」と話しています。
-- NHK NEWS WEB