太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張する韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判で、韓国の最高裁判所は30日、判決を言い渡します。徴用をめぐる問題について、日本政府は「解決済みだ」としており、判決によっては日韓関係に影響を及ぼすことも予想されます。
この裁判は、1941年から43年にかけて「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張するイ・チュンシク(李春植)さんなど韓国人4人が新日鉄住金に対して損害賠償を求めていたものです。
1審、2審は原告の訴えを退けましたが、2012年にソウルの最高裁判所は「個人の請求権は消滅していない」という判断を示し、2審の判決を破棄しました。
そして高等裁判所が今度は損害賠償の支払いを命じたことを受けて、新日鉄住金が上告し、最高裁での審理が行われていました。
最高裁は30日午後2時から判決を言い渡す予定で、これを前に原告側の弁護士などは先週、記者会見を行い、「法律と良心に従い、どうやったら原告の権利を守ることができるのか考えて判決を出すべきだ」と述べていました。
一方、日本政府は徴用をめぐる問題について、1965年の国交正常化に伴う日韓請求権・経済協力協定によって「完全かつ最終的に解決済みだ」としています。
最高裁が原告側の訴えを認めれば、日本企業に賠償を命じる判決が初めて確定することになり、日韓関係に影響を及ぼすことも予想され、どのような判断を示すのか、注目されています。
-- NHK NEWS WEB