韓国の最高裁判所が、太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判で、新日鉄住金に賠償を命じた判決について、韓国の新聞は31日朝の紙面で「記念碑となる判決を下した」などと、大々的に伝える一方で、日韓関係への悪影響に懸念も示しています。
太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張する韓国人4人が、新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判で、韓国の最高裁判所は30日判決で、「個人請求権は消滅していない」として、新日鉄住金に賠償を命じました。
これについて保守系の朝鮮日報は、終戦からの73年間で初めて日本企業に賠償を命じる判決が確定したとして、「司法が記念碑となる判決を下した」と、有識者の発言を引用して伝えています。
また、韓国政府の調査をもとに、「徴用の被害者は少なくともおよそ14万人だ」として、今後、提訴の動きが広がる可能性についても触れています。
革新系のハンギョレ新聞は「強制徴用の被害者が高齢化しているだけに、日韓両政府が判断しなければならない」として、日韓両政府に迅速な対応をとるよう主張しています。
一方、保守系の中央日報は最高裁の判事13人のうち2人が、「韓国政府が補償すべきだ」という意見を出したことや、韓国の元駐日大使が「日韓関係に相当な悪影響を及ぼすおそれがある」と話したことを紹介して、今後、「日韓関係は大荒れ」になると懸念を示しています。
-- NHK NEWS WEB