日銀の黒田総裁は31日の金融政策決定会合のあとの記者会見で、アメリカと中国の貿易摩擦が世界経済の成長を押し下げるリスクが強まっているとして、影響を注視していく考えを示しました。
この中で黒田総裁は、このところ世界的に株価が急落するなど株式市場が不安定になっていることについて「基礎的な経済状況、ファンダメンタルズは、日本も欧米も良好で、大きな変化は見られていない。株価のベースとなる企業収益の見通しも総じてしっかりしているうえ、株式以外の金融市場も落ち着いている」と述べ、現時点で悪影響は広がっていないという認識を示しました。
一方で、黒田総裁は世界経済が抱えるリスクについて「アメリカと中国の貿易摩擦はエスカレートしている状況で、世界経済に与える下方リスクにいちばん注目している。アルゼンチンやトルコなど経済がぜい弱な新興国にも、潜在的なリスクがある」などと述べ、注意深く見ていく考えを強調しました。
そのうえでリスクが顕在化して実体経済に影響を与えた場合の対応について「金利の引き下げや資産の買い入れの拡大などいろいろな手段がありえると思う」と述べ、追加の金融緩和を含めた対応を検討する考えを示しました。
-- NHK NEWS WEB