結核を予防するため1歳未満の子どもに接種するBCGワクチンの溶液の一部から、基準を超えるヒ素が検出され、製薬会社がことし8月から出荷を停止していることがわかりました。厚生労働省は「検出されたヒ素はわずかで、仮に接種したとしても安全性に問題はない」としています。
基準を超えるヒ素が検出されたのは、東京・文京区の製薬会社「日本ビーシージー製造」が作った「BCGワクチン」を溶かす生理食塩水の一部です。
厚生労働省によりますとことし8月、会社が出荷前のものを検査した結果、複数から最大で基準値の2倍を超えるヒ素が検出されました。
生理食塩水が入ったガラスの容器を熱で溶かして封をする際にヒ素が溶け出したことが原因で、会社は厚生労働省に報告するとともにワクチンと生理食塩水の出荷を停止しました。
厚生労働省は、検出されたヒ素の量は体内に入っても健康に影響が出ない許容量の数十分の1程度だったため、仮に接種しても安全性に問題はないとしていて、すでに出荷されたものについては回収しませんでした。
BCGワクチンは結核を予防するため1歳未満の子どもに接種するもので、国内ではすべてこの会社が製造しています。
今月中旬ごろには容器を変えて出荷が再開される見込みで、厚生労働省はワクチン不足は起きないという見通しを示しています。
会社の報告から3か月後に事実を公表したことについて、厚生労働省は「安全性に問題がなかったため」としています。
-- NHK NEWS WEB