アメリカのトランプ政権がイラン産原油の禁輸などを盛り込んだ経済制裁を発動したことに対し、イランのロウハニ大統領は一方的な制裁だとして強く非難したうえで、制裁に対抗し、各国と連携して原油取り引きを続ける考えを強調しました。
アメリカのトランプ政権は、イラン核合意から一方的に離脱し、8月に自動車や鉄鋼などの分野で制裁を発動させたのに続き、5日、第2弾として原油などエネルギーの分野や金融機関を対象とした経済制裁を発動させました。
これを受けてイランのロウハニ大統領は5日、演説し、「アメリカの制裁はイランの人々や外国企業に向けられたものだ。多くの国は制裁に怒っている」と述べて、国際社会の反対を押し切って制裁が発動されたとして強く非難しました。
そのうえで「われわれは、この一方的な制裁を名誉を持って破り、原油の販売も続ける。ヨーロッパやアジア各国はわれわれとともにある」と述べて、制裁に対抗する考えを強調しました。
イランは、アメリカの制裁に反対しているEU=ヨーロッパ連合に対し、制裁の影響を受けない形で取り引きができる新たな決済システムを導入するよう求めていて、アメリカの制裁下でも各国と連携を深めることで、原油取り引きなどの貿易を続けたい考えです。
ただ、国の歳入の3割以上を占めるイラン産原油の輸出量は年内にさらに落ち込むと予測され、すでに通貨安や物価高で国民の不満が高まる中、どこまで制裁の影響を回避できるかは不透明です。
-- NHK NEWS WEB