ベトナムを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の16日夕方、グエン・スアン・フック首相と会談し、海洋進出を強めている中国を念頭に、法の支配の重要性を確認し、海洋分野での協力を一層強化するため、新造の巡視船6隻を供与することを伝えました。
ベトナムを訪れている安倍総理大臣は、最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長ら指導部のメンバー4人と相次いで会談していて、日本時間の午後5時ごろから、グエン・スアン・フック首相と会談しました。
この中で、両首脳は、南シナ海での領有権をめぐり、ベトナムと対立し、海洋進出を強めている中国を念頭に、法の支配や紛争の平和的解決の重要性を確認し、安倍総理大臣は、海洋分野での安全保障や防衛協力を一層強化するため、新造の巡視船6隻を供与することを伝えました。また安倍総理大臣は、質の高いインフラ整備を実現するために、円借款の供与など、およそ1200億円に上る経済協力を新たに行うことを伝えたほか、日本企業が受注した原子力発電所の建設計画の中止を決定したのは残念だとしたうえで、それに代わるエネルギー開発で引き続き協力していく考えを示しました。
そして、両首脳は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の発効とともに、RCEP=東アジア地域包括的経済連携について、高い水準での早期妥結に向け、協力していくことを確認しました。さらに、核実験やミサイルの発射を繰り返す北朝鮮への対応について、安全保障上の脅威は新たな段階に入っているとして、国交のあるベトナムとともに圧力をかけていくことで一致しました。
両首脳は、アジア太平洋地域の平和と安定を維持するためにアメリカの存在は不可欠だとして、今月20日に発足するトランプ新政権と密接に意思疎通を図っていくことを確認しました。また、安倍総理大臣は、この春予定されている天皇皇后両陛下のベトナム公式訪問について、成功に向けあらゆる面での協力を要請しました。
両首脳は、会談終了後、共同記者発表を行い、安倍総理大臣は「世界的に政治、安全保障、経済面で不確実性、不透明性が増す中、日本とベトナムの協力を強化し、広範な戦略的パートナーシップをさらに深化させることで一致した」と述べました。また、フック首相は「ハイレベルの対話を通じて、信頼関係を強化していくことで一致した。日本は、ベトナムの永久的かつ最も重要なパートナーだ」と述べました。
-- NHK NEWS WEB