イラン産原油を対象にしたアメリカの経済制裁が発動されたことを受けて、主な産油国は11日、原油の生産量を増やす必要があるか議論します。産油国の間では、原油価格はすでに値下がりし、生産量を増やす必要はないとの意見が強まっていて、議論の行方が注目されます。
5日に発動された経済制裁で、アメリカは制裁の対象から一時的に除外した日本などにも今後、イラン産原油の輸入を完全に停止するよう求めていて、有数の産油国イランからの原油の供給は一段と減ると見込まれています。
こうした中、サウジアラビアやロシアなど主な産油国は11日、UAE=アラブ首長国連邦に集まり、生産量を増やす必要があるか議論します。
原油の消費国では、イランへの制裁で供給が不足することが懸念されていますが、サウジアラビアやロシアは、イランの減少分を補おうと増産しています。
このため、原油価格は先月のピーク時よりすでに20%以上下落し、およそ8か月ぶりの水準まで値下がりしています。
こうしたことから産油国では、今の生産量を増やす必要はないとの意見が強まっていて、むしろ減産を検討すべきという声まで出ています。
イギリスの証券会社、IGグループのクリス・ビーチャムチーフアナリストは「原油価格の高値を維持するため、産油国は供給を増やす必要はないと判断する可能性がある」と指摘しています。
今回の会合は、OPEC=石油輸出国機構などが来年の生産量を決める議論の土台にもなるため、この冬以降の原油価格の動向に影響を与えるとして、議論の行方が注目されています。
-- NHK NEWS WEB