アメリカのトランプ政権は、新型コロナウイルスの影響で急速に経営が悪化している企業に対する救済策の本格的な検討に入っています。当面の焦点は、航空機大手ボーイングですが、2度の墜落事故への対応など、これまでの経営方針には批判も根強く曲折もありそうです。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、アメリカでは、航空や観光業の企業の経営が大幅に悪化しており、トランプ大統領は雇用を守るためだとして、こうした企業に対する資本の増強など、公的な資金を使った救済策の本格的な検討に入っています。
この中で焦点となるのが「ボーイング」です。
ボーイングは、2度の墜落事故を受け、主力旅客機の生産停止が続いているうえ、航空機需要も減っていることから急速に資金繰りが悪化し、株価は先月末時点の330ドルから、95ドルまで急落しています。
このため今月17日、アメリカ政府に対して、600億ドル、日本円で6兆6000億円の資金支援を要請しました。
しかし、ボーイングは、市場から自社の株式を買い取る「自社株買い」を、去年まで4兆円以上行っていることを踏まえ、野党・民主党などからは「株価や株主ばかりを優先していて、安易な救済はおかしい」との批判も出ています。
こうした自社株買いについて、トランプ大統領は20日の記者会見で「私は好きではない。資金は従業員に役立てるべきだ」と述べましたが、多くの企業が行ってきた自社株買いが株価全体を押し上げてきたという面もあるだけに、救済と引き換えに規制を導入するかなど、政府の対応をめぐって曲折もありそうです。
-- NHK NEWS WEB